琉球弧の歌謡を読む

沖縄、宮古、八重山の歌謡・古謡を現代語訳します

農事暦の歌《むぬちぃくりユングドゥ》

【凡例】

喜舎場永珣(1885-1972 )が『八重山古謡』上下巻に記した八重山の古謡(270編余)を、ほぼ出典に沿って訳している。
1行目は原歌で、出典のカタカナ表記をひらがな表記にし、ふりがなが振られている場合には漢字ではなくふりがなで表記している。囃子と人名についてはカタカナ表記にしている。
2行目は具志堅要による私訳。
八重山語の不詳の部分は、喜舎場訳を踏襲している。


むぬちぃくりユングドゥ(大川)

どぅゆうぬしちぃねー たーかいし
〔夏の〕土用の節には田を耕す

りっとぅぬしちぃねー まいだにうるし
立冬の節には稲籾を播種する

立春うーしぃぬしちぃに まいいべー
立春の雨水の節には稲を植える(田植えする)

ぼうしゅかーちーぬしちぃに まい刈り入れ
芒種・夏至の節には稲の刈り入れ

かんるぬしちぃねー むん作り
寒露の節には麦作り

冬至ぬしちぃねー あー作り
冬至の節には粟作り

若者ぬめーや 夜中ぬしちぃに 子作りようら
若者たちは夜中の節に子作りをしよう

百栄い栄やーろんゆー
百栄えに栄えようではないか

女子や あはり生りばん
女の子は美人に生れたら

中ぬ仮屋ぬ あんまかい選ばれ
中の仮屋(在番奉行の役所)の賄女に選ばれて

冥加しで果報し 世間から豊ゆまれ うんゆしれさり
冥加でこの上の無い果報をし、世間から羨望の的になる

喜舎場永珣『八重山古謡上巻』(1970年、沖縄タイムス社)